音楽の知識ゼロから、Pyxel でそれらしい曲を組み立てる
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音楽理論を学ぶページではありません。楽譜が読めなくても、ドレミが分からなくても、 手順どおりに置いていけば「聞ける BGM」になるという、その手順をまとめたページです。
フェーズ 7 で作った 4 秒のループを題材にします。あそこで打ち込んだ音の並びには、 実はちゃんと理由がありました。それを 1 つずつ説明していきます。
ゲームの BGM は、次の 4 つが重なってできています。そして作る順番は、下から上です。
まず音の高さの仕組みだけ押さえます。これだけ知っていれば足ります。
リソースエディタの鍵盤は、パソコンのキーボードに割り当てられています。 音名が分かればキーが決まるので、この表さえ手元にあれば、 どんな譜面でも打ち込めます。
| 音名 | C | C# | D | D# | E | F | F# | G | G# | A | A# | B |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 下段 (OCTAVE の高さ) |
Z | S | X | D | C | V | G | B | H | N | J | M |
| 上段 (その 1 つ上) |
Q | 2 | W | 3 | E | R | 5 | T | 6 | Y | 7 | U |
Enter」の 2 打。Enter でカーソルが 1 つ進みますA キー。音名の「ラ」は N なので、ここだけ紛らわしいPageUp / PageDown で切り替えますZ C B Q。
最後の C4 のために OCTAVE を上げる必要はありません(そもそも 4 には上がりません)。音を適当に置くと不協和になるのは、使ってよい音を決めていないからです。 逆にいえば、最初に「この 7 音だけ使う」と決めてしまえば、 どう並べても致命的には外れません。
Z X C V B N M(下段)と Q W E R T Y U(上段)だけを押し、
S D G H J と 2 3 5 6 7 には触らない。
これだけで「A マイナー(イ短調)」という、ゲーム BGM でいちばん使われる音の集まりになります。
さらに確実にしたければ、白鍵 7 音のうちぶつかりやすい 2 音(F と B)を外した 5 音だけを使います。 これをペンタトニックといい、どんな順番で並べても、まず外れません。
コードとは、同時に鳴らすと気持ちよく響く音のセットのことです。 そしてコード進行は、その並び順。曲の「地面」にあたります。
うれしいことに、定番の進行がいくつかあり、そのまま借りて構いません。 著作権があるのは「メロディ」であって、コード進行は共有財産です。 プロもみんな同じ進行を使っています。
| コード進行 | 感じ | ベースが弾く音(OCTAVE 1) |
|---|---|---|
| Am → F → C → G | 定番中の定番。前向き・王道 | N → V → Q(上段) → B |
| Am → F → C → Em | 落ち着く・浮遊感 (フェーズ 7 で使ったもの) |
N → V → Q(上段) → C |
| Am → G → F → G | 哀愁。ずっと同じ場所を回っている感じ | N → B → V → B |
| Am → Dm → G → C | 展開する。場面が動く感じ | N → X → B → Q(上段) |
Am なら A、F なら F、C なら C。
コード名の頭文字の音を、1 つ鳴らせばいいだけです。
和音として 3 音を重ねる必要はありません(ゲーム BGM では 1 音のほうがむしろ普通です)。
これが「ベースがいちばん簡単」と書いた理由です。
Pyxel のサウンドは、マス目にひとつずつ音を置いていく形式です。 16 ステップを 4 つのブロックに割り、1 ブロックに 1 コードを割り当てます。 これで 4 コード = 1 ループが完成します。
テンポは SPEED で決まります。1 ステップの長さ = SPEED ÷ 120 秒なので、 4 ステップを 1 拍と数えると次のようになります。
| SPEED | 1 ステップ | 16 ステップの長さ | テンポの目安 |
|---|---|---|---|
10 | 0.083 秒 | 1.3 秒 | 180 BPM / 疾走感。シューティング向き |
15 | 0.125 秒 | 2 秒 | 120 BPM / 軽快。アクション向き |
20 | 0.167 秒 | 2.7 秒 | 90 BPM / 標準的 |
30 | 0.25 秒 | 4 秒 | 60 BPM / ゆったり。step0 で使った設定 |
40 | 0.333 秒 | 5.3 秒 | 45 BPM / 荘厳・不気味 |
上の表から 1 つ選ぶだけです。迷ったら Am → F → C → G。 紙に書く必要すらなく、頭の中で決めれば十分です。
SOUND 1、OCTAVE 1。ステップ 1・5・9・13 にコードの頭文字の音を置き、あとは全部休符。
これだけで土台が完成します。音色は T(三角波)、音量は 4 前後。
SOUND 2、音色は N(ノイズ)。ノイズは音の高さが「音程」ではなく「質感」になります。
低い音番号ほど「ドッ」、高いほど「シャッ」と鳴ります。
| 役割 | 置く場所 | 音の高さの目安 | 音量 |
|---|---|---|---|
| キック(ド) | ステップ 1・9 | 低め(OCTAVE 0 〜 1 の Z あたり) | 7 |
| スネア(タ) | ステップ 5・13 | 中くらい(OCTAVE 2 の N あたり) | 6 |
| ハイハット(チ) | その間(ステップ 3・7・11・15) | 高め(OCTAVE 3 の Y あたり) | 1 〜 2 |
7 1 6 1 7 1 6 1 … のように打つと、強い音と弱い音が交互になって
「ノリ」が生まれます。
SOUND 0、OCTAVE 2。ここまでで土台ができているので、 ペンタトニックの 5 音(A C D E G)を、適当に置いても成立します。 それでも、次の 4 つを守るとぐっと「曲」に近づきます。
| コツ | なぜ |
|---|---|
| 1. 隣の音へ動くのを基本にする | 跳ぶと歌いにくい。ときどき跳ぶから、その跳躍が目立って気持ちよくなる |
| 2. 出だしと終わりはコードの音に | Am のブロックなら A・C・E のどれかで始めると、収まりがよくなる |
| 3. 同じ形をくり返す | 覚えやすさは、ほぼ「くり返し」で決まる。前半 8 ステップの形を、 音の高さだけ変えて後半でもう一度使う |
| 4. 休符を惜しまない | 詰め込むと素人っぽくなる。半分が休符でちょうどいい |
実際に打ち込んだ 7 音は A → C → E → D → C → A → G でした。
つまり、あの並びはたまたまではなく、上のコツをそのまま適用したものでした。 逆にいえば、この 4 つを守れば同じように作れます。
Pyxel は同時に 4 音まで(CH0 〜 CH3)。役割を固定しておくと迷いません。
| CH | 役割 | おすすめ音色 | 音量の目安 |
|---|---|---|---|
0 | メロディ | S 矩形波(前に出る)/P パルス波 | 5 〜 6 |
1 | ベース | T 三角波(低音がきれい) | 4 〜 5 |
2 | 副旋律・和音 | P パルス波(細くて邪魔をしない) | 3 〜 4 |
3 | ドラム | N ノイズ | マスごとに 1 〜 7 |
7 にすると、何が主役か分からない団子になります。
メロディ > ベース > 伴奏の順に下げてください。
ドラムのハイハットは 1 でも十分に聞こえます。
| やること | 効果 |
|---|---|
| 音を減らす | 迷ったら足すのではなく引く。休符を増やすだけで良くなることが多い |
| SPEED を変えてみる | 同じ音の並びでも、速さを変えると別の曲に聞こえる。いちばん手軽な救済策 |
| 音色を変えてみる | T ⇄ S ⇄ P を入れ替えるだけで印象が激変する |
| 1 オクターブ上げ下げする | メロディが低くてもたつくときは、全部 +12 して上げると映える |
| 好きなゲーム音楽を思い出しながら打つ | 「なんとなく似た形」を目指すのは有効な練習。ただし そのまま写すのは避ける(メロディには著作権があります) |
pyxel.gen_bgm() という、アルゴリズムで BGM を作る関数が用意されています。
ただしこれが返すのは MML という別形式の文字列で、
.pyxres には保存されません(リソースファイルには
音符・音色・音量・効果・速度しか保存されない形式のため。実際に試して確認しました)。
エディタのピアノロールにも表示されないので、
step0 の作り方とは別の道になります。「こんな機能もある」という程度に留め、
当面は自分で打ち込むのがおすすめです。
| 用語 | ひとことで言うと |
|---|---|
| オクターブ | 音の高さのひと回り。Pyxel の音番号で 12 ぶん |
| 半音 | 階段 1 段ぶん。Pyxel の音番号で 1 ぶん |
| キー(調) | その曲で使ってよい音の集まり。白鍵だけなら「A マイナー」 |
| マイナー/メジャー | 暗い響き/明るい響き。同じ白鍵でも、どの音を中心にするかで変わる |
| ペンタトニック | 外れにくい 5 音。A・C・D・E・G |
| コード | 同時に鳴らすと調和する音のセット。ベースはその頭文字の音を弾く |
| コード進行 | コードの並び順 = 曲の設計図。定番を借りてよい |
| BPM | 1 分あたりの拍数。大きいほど速い |
| ルート音 | コードの土台になる音。Am なら A |
Z X C V B N M と Q W E R T Y U だけ)Am → F → C → G)